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「カルタヘナ議定書の責任及び救済に関する国内措置のあり方について(答申案)」に意見を提出しました

「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方について(答申案)」に対して、遺伝子組み換えに反対し、生物多様性を守るため、生活クラブ生協・東京として意見書を提出しました。

≫意見書全文はこちら

※「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」とは
 遺伝子組換え生物等の国境を越える移動に関する手続き等を定めた国際的な枠組み。

※「名古屋・クアラルンプール補足議定書」とは
 カルタヘナ議定書の「責任と救済」について規定した補足的な議定書。輸入国等において生態系などに影響(被害)を与えた場合の原状回復や賠償など 
についてのルールを定めたもの。

≫環境省の答申案に対する意見募集要項はこちらから
(環境省のWEBサイトにリンクします)

 


 ▼答申案の概要

  • 現行のカルタヘナ国内法にもとづいて生物多様性への損害について、「防止」「回避」「最小限」「限定」「緩和」について、遺伝子組み換え生物の「管理者」に命ずることはできるが、「復元」を命じることは困難である。現行のカルタヘナ国内法では不十分であり、復元措置についての措置を講ずる必要がある。
  • 復元のための措置をとるのは、違法に遺伝子組み換え生物等を使用した者等に限定することが適当。
  • 適法な使用者によって損害が発生した場合など使用者に措置を命ずることができない場合は、政府が自ら実行可能で合理的な範囲で復元措置を講じる必要がある。
  • 管理者に対応措置を要求する権限のある当局の決定に関し、救済措置を国内法で定めることができるが、行政審査法、国家賠償法がすでに存在しており、新たな措置は不要。

▼意見書の要旨

  • 保護の対象を「近隣の野生種」だけでなく、「農作物を含むすべての生物」にしてください。
  • 補足議定書に対応するための国内措置を検討する際は、農家や消費者を含む幅広い利害関係者をメンバーとしてください。
  • 損害が発生した場合の復元措置については、政府が講じるのではなく「管理者」である開発者あるいは販売者に措置を命じるようにしてください。

 


環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 御中

補足議定書答申案に対する意見

2016年11月15日
生活クラブ生活協同組合・東京 理事長 土谷雅美


■意見1 【該当箇所】6ページ、2.「損害」について
【意見内容】
 この項の2段落目に、「復元の対象となる『損害』の範囲については、生物多様性の保全を目的として現行法の下で保護されている地域や種の観点から、限定的に考えることが適当ではないか」とされています。
現行のカルタヘナ法で保護されているのは、近縁の野生種に限定されていますが、農作物を含むすべての生物を対象とするようカルタヘナ国内法を改正し、補足議定書への対応についても、復元の対象となる「損害」の範囲に農作物を入れてください。
【理由】
遺伝子組み換え作物の世界最大の輸入国である日本にとって、遺伝子組み換え作物の輸入による損害は、目の前に迫った脅威と言えます。私たちが毎年行なっている遺伝子組み換えナタネの自生調査では、セイヨウナタネと野草との交雑がすすんでいることが分かりました。このまま放置すればアブラナ科の農作物との交雑につながりかねません。
 4月に行なわれたカルタヘナ法の施行状況の検討についての意見募集の際にも、当会から同じ内容の意見を提出したところ、環境省から示された考え方は、「農作物は、人が野生植物から改良を重ねて作り出した植物であり、人が作り出す環境に適応した植物であることから、野生動植物とは異なるものとして、生物多様性影響評価の対象とはしていません」というものでした。このような現行法の考え方を踏襲すれば、農作物と遺伝子組み換え作物とが交雑したとしても、誰が責任を持って修復に当るのか分かりません。

■意見2 【該当箇所】6ページ、2.「損害」について
【意見内容】
 補足議定書に対応するための国内措置のあり方については、農家や消費者を含む幅広いステークホルダーによる検討を要望します。
【理由】
答申案では、この項の4行目で「管理者は復元措置を命じられる可能性があるという負担を負うこととなる」と管理者に配慮する一方で、損害を受ける側の負担への配慮がありません。遺伝子組換え生物等専門委員会の専門家による判断だけでなく、遺伝子組み換え作物の輸入によって直接影響を受ける農家や消費者の意見も聞いた上で検討すべきです。

■意見3 【該当箇所】7ページ、3.「措置命令の対象者」について
【意見内容】
 この項の最後の段落に、「適法な使用等によって損害が発生した場合等使用者等に措置を命ずることができない場合については、政府が自ら実行可能で合理的な範囲で復元措置を講ずる必要がある」とあります。政府が安易に措置を講ずるのではなく、「管理者」である開発者あるいは販売者に措置を命じるようにしてください。
 補足議定書の第二条のなかで、「管理者」とは、「改変された生物を直接又は関節に管理する者をいい、状況に応じ、国内法によって決定するところに従い」、「改変された生物を市場取引に付したもの、開発者、生産者」「輸出者、輸入者、運送者または供給者をふくむことができる」と定められています。日本の国民の税金を使って日本政府が肩代わりするのではなく、開発企業や販売者に責任を負わせることができるような国内法の整備をしてください。
【理由】
 補足議定書の前提として、「汚染者負担原則」があります。また、既存の国内法として「製造物責任法」があり、製造物による汚染の責任は製造者が負う考え方がすでに定着しています。
補足議定書は、カルタヘナ議定書第27条に「改変された生物の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済の分野における国際的な規則及び手続を適宜作成する」と定められていることから作られたものであり、適法な使用を前提に作られています。答申案にあるように「復元措置の対象は、違法に遺伝子組み換え生物等を使用等した者等に限定する」とすれば、未承認作物を輸入したようなきわめて例外的な場合にのみ「管理者」に復元措置を命ずることになります。違法、適法に関わらず、「管理者」に復元措置を命ずることができるように国内法を整備すべきです。

以上

 【2016年11月18日掲載】

*—-*—-*—-*
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