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秋から取組みの始まるベトナム産粗放養殖エビ現地視察報告

ベトナム粗放養殖エビ・胡椒生産者 現地視察報告

多摩南理事 落合 由美

2017年11月から新しくベトナム産粗放養殖ブラックタイガーの取組みが始まります。
粗放養殖は自然の池を利用し、人工の餌や薬品を与えないので、エビはのびのびと育ち、環境に負荷をかけません。現地の生産の様子を視察してきました。その様子をぜひご覧ください。そして秋から始まるベトナム産粗放養殖エビを、みんなで利用していきましょう。

6月14日~19日の日程で、秋から取り組みが始まるベトナム産粗放養殖エビと、すでに取り組んでいる胡椒事業の現地視察に行ってきましたので報告いたします。
6月14日 成田夕刻発⇒ホーチミンへ空路移動。ホーチミンでホテルに約5時間滞在。
6月15日 早朝の飛行機(80人乗り?プロペラ機)で南西に約300キロのカマウへ。
カマウとは
ベトナムの人口は9500万人、カマウは人口22万人。海抜が低く広大なマングローブの林を有する。ベトナムは亜熱帯なので稲の三毛作が可能だが、カマウは海水が田に入り込むため、乾期に1作しかできない。そこで政府の政策でエビの養殖が盛んになり、米農家はエビの養殖業に転換した。エビの生産量はベトナム全体の半分を占める。
産地・生産者
カマウから車で1時間、30㎞ほど南下するとエビの養殖産地ダムドイ県がある。南シナ海から内陸に約50㎞離れているがまさにメコンデルタ地域で、川は塩分濃度が2.3~2.5%の汽水域でエビ・カニの養殖に適している。16日に2軒のエビ農家を訪問し、収穫の様子を見学した。車の通れないところもあり、生産者のところには最後の10分ほどはボートに乗り換えて行った。
マングローブの生えた養殖池養殖池は元は田んぼだったため、ほぼ四角い。川から500m位離れた池の上部に1か月半に1度くらい購入した稚エビを放流すると、3か月~7か月くらいかけて川への出口まで移動してくる。大きいものは27cm、150gくらいにまで育つ。エサは与えず、池に生えているマングローブの根元でプランクトンを食べて育つ粗放養殖。抗生物質を使用していないことは定期的に検査している。養殖池と川は40cm位の幅の仕切り板のついた水路でつながっており、潮の満ち引きで水が出入りする。水が引くタイミングで川への水路を開け、網をかけておくとエビが(時々ヤシガニも)入る。収穫は満月と新月の赤い蓋つき容器で朝まで氷を入れて保管する前後に5,6日ずつ行なう。池には魚も棲んでいてエビを食べてしまうため、魚だけに効果のあるデイトゥックカーという有機農業にも使用される殺魚成分を、月初に水位を1/4位に減らして投与し、死んで浮いた魚を処分、月末にエビを収穫する。日中の気温が高いため、収穫は夜9時以降に行ない、翌日まで氷を入れた蓋つき容器で保管し、午前中に船で集荷代理人キエン氏のところに運ぶ。

   集荷代理人キエン氏キエン氏は月40t、年間500t程度の取引をするダムドイ地方を代表する集荷代理人で農家の信頼も厚い。元々教師で、15年前から父の仕事だった集荷代理人になった。周辺の100軒余りのエビ農家と付き合いがあるが、その中から生活クラブ指定生産者として60名を選抜して、生産者台帳を作り、栽培履歴や生産場所の情報公開をしている。      
生産者が船で運んできたエビは直ちに氷を置いたステンレス製のテーブルの上で品質の確認をする。作業場に壁はないが、屋根の上に水を流し、天井からの温度を下げる工夫キエン氏から加工工場に届いた氷詰めのエビをしている。大まかなサイズ別に重さを計り、キエン氏、または奥さんが現金で農家に代金を支払う。キエン氏のところに集まったエビは生活クラブ向けの表示を明確にして、生活クラブの牛乳ケースくらいの大きさの保冷ケースにエビ・氷を同量交互に重ねて詰め、午後の早い時間に船で1時間~1時間半かけてカマウの加工工場まで運ぶ。        
出荷のある時には必ず(株)西日本FUの現地駐在員黒川氏が立ち会って、エビの芯温が4℃以下に保たれているか確認している。 
         
加工会社シープリメスコ社
カマウにあるエビ加工会社(株)Seaprimexco(シープリメスコ社)を訪問。1976年に国営企業として設立、2004年に民間に。加工会社は数社あるが、3年前1社ずつ門戸を叩き、生活クラブの希望する安全で環境に優しい取り組み方を説明して、理解を示してくれたのはこの会社だけだったとのこと。カマウ市内とエビ産地ダムドイに加工工場を持ち、従業員約1000人。HACCP、ISO9001等、食品の安全、品質管理の国際認証を取得している。
青いカードで生活クラブ向け表示15日午前にカン社長、ホアイ副社長、ニャン取締役(女性)らと会談。午後には生活クラブ向けに入荷した粗放養殖ブラックタイガーの加工の様子を見学・点検した。

入荷から加工の様子
船で工場船着き場に入荷したエビは直ちに屋内に運ばれ、直径・高さ1.2mくらいの水槽に氷ごとあけられる。次亜塩素酸ソーダでの消毒洗浄も行う。水を替えながら3槽ほど移動させて洗浄し、加工工場内に運ぶ。この間目視で品質の悪いものは除去。生活クラブ向けということが見てわかるよう、水槽には青いカードが目印に付けられている。
ステンレスの作業台で指示された加工を氷と一緒に広げて行ない、温度が上がらないように工夫している。頭を取る、殻剥き、背ワタ取りなどの作業は一人で行ない、20人ほどの作業員がテキパキと作加工後バラ凍結されるエビの芯温計測を行う業をすすめる。テーブルを移動してサイズ分け、2グラム単位で行なっている。細かいサイズ分けが終わったところで計量し、キエン氏に支払われる代価が決まる。再度洗浄を行ない、製造ごとに食味検査。作業工程ごとに監督者がおり、帽子のつばの色で担当が判るようになっている。また、1時間ごとにベルが鳴り、作業員は手洗い・作業着の上からのゴミ取りローラーかけを行なう。作業テーブルが変わるたびにエビの芯温計測を行ない、4℃以下を確認している。冷凍までの加工は1時間以内に行なわれる。
加工別、サイズ別にバラ凍結され、品質保持のためのグレージングという水をくぐらせる加工をして計量、袋詰め、金属探知機検査。出荷まで冷凍保管される。

生産現場を視察して感じたこと
「生産者の顔が見える」 生活クラブの消費材でいつも確認していることだが、このベトナム粗放養殖ブラックタイガーも、生産者、集荷代理人、加工工場を視察して、温度管理、品質管理、加工にかかる時間管理、衛生管理などが厳しく行われていることが確認できた。
生産者の池でマングローブの林を守り、持続可能な粗放養殖を行なうことで、わたしたちも安心・安全な美味しいエビを食べ続けることができる。顔の見える関係でよりよく改善することもできる。秋の取組み開始を楽しみに待ちたい。それまでにできるだけ多くの人に今回の視察の様子を知らせて、理解をひろげていきたいと思う。

 

ベトナム胡椒事業 視察
17日早朝、カマウからホーチミンへ移動。ホーチミン市内で有機農産物の販売組織を視察、意見交換。ここで販売している有機野菜はバンメトートのFUV(西日本ファーマーズユニオン・ヴェンチャー、代表片山元治氏)農場で栽培しているもの。ゴーオーガニックという販売組織代表は女性で、自身の娘さんの原因不明の脱毛、湿疹などの症状を治すために、有機野菜を食べ始めた。食べ始めて数ヶ月で症状が治まり、販売も手掛けることにした。ホーチミンでも有機野菜を望む人は少なくなく、現在は50軒ほどに届けている。一般の野菜の5~6倍の価格だが需要はある。バンメトートから8時間ほどかけて野菜を移動している。
夕刻ホーチミンから北へ310㎞、飛行機で50分の胡椒産地であるバンメトートへ移動。
18日バンメトートで胡椒生産者と、集荷倉庫を視察。

胡椒生産者
訪れたバンメトート郊外の生産者の農園では鶏を500羽ほど飼い、胡椒農園内の虫を食べ、鶏糞を肥料としていた。2~3月が収穫のピークなので、この時期は木にはほとんど実が残っていなかったが、農園の中はよく手入れがされていた。胡椒は蔓性の植物なので、3m間隔位に植えられた支柱となる5メートルほどの木、又はコンクリートの柱の根元に苗を植え、3年目位から収穫できるようになる。7~8年目が最盛期で、20年くらいまで収穫が可能。収穫は脚立に登ってぶどうのような房を手摘みし、下に敷いたシートに落とす。農家で乾燥させてから1袋55~60kg詰めにして出荷し、バンメトートのエアカトゥー社の倉庫へ納品。
エアカトゥー社が一帯の農家から胡椒やコーヒーの集積・取りまとめを行なっている。
FUVはエアカトゥー社に所属する胡椒農家のうち特に信頼度の高い4~5名の農家を選抜・生産管理を行ったうえで各戸からおよそ1tずつを原料供給し、一次選別、輸出手配等を行なっている。
エアカトゥー社で生産者別、袋ごとに品質検査をして受け入れ後、FUVに引き取り、入庫。再度石やゴミを手選別して小分け保管し、ホーチミンにあるKSS(カネカサンスパイス)(香辛料の製造・販売に特化したカネカ系列の現地法人)で殺菌・洗浄加工されたものを日本に輸出。㈱西日本FUが輸入、品質検査後、和高スパイス㈱へ。二次加工・包装後生活クラブ。
原材料の生産者・栽培履歴までが判るベトナム産コショウとして消費材となっている。
FUVとは
日越農業者たちの連帯会社。愛媛県の無茶々園前代表の片山元治氏が10年前にベトナムを訪れ、帰国研修生たちの仕事興しや農産物の生産工程の管理などを手掛ける会社を興した。
無茶々園での生産者管理台帳の作り方などのノウハウが胡椒生産者やエビ生産者の管理に役立っている。その人柄でベトナムにも人脈が多い。王隠堂の代表王隠堂誠海氏とは親友。
バンメトートで胡椒の輸出の他、有機農法で野菜作りをしてホーチミンに出荷している。
エビは王隠堂からの出向者が担当している。

現場を視察して感じたこと
持続可能な農業、現地の農業者が自立・向上する支援をしているFUVに感銘を受けた。
 

【2017年7月17日掲載】

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