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「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)案」に対するパブリックコメントを提出しました

環境省により、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)案」について、パブリックコメントの募集が発表されました。
これに対し、生活クラブ・東京として意見を提出しています。
以下、意見全文

パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)に対する意見


住所           東京都世田谷区宮坂3-13-13
氏名           生活クラブ生活協同組合・東京 理事長 土谷 雅美
 
意見① 内容
○該当箇所
5ページ21行目
○意見の概要
IPCC「1.5℃特別報告書」を踏まえて、2050年までに国内削減のみで実質排出ゼロとし日本のゴールとして明記すべきです。また2030年までの目標数値も引き上げるべきです。
○意見及び理由

最終到達点として「脱炭素社会」を掲げたことは評価できますが、2050年の長期目標は「2050年までに80%削減する」という従前のものに留まっていることは全く評価できません。
「地球温暖化が現在の度合いで続けば、2030年から2052年の間に工業化以前の水準より1.5℃上昇する可能性が高い」、「早ければ2030年にも1.5℃まで上昇し、今世紀後半には3℃まで上昇する可能性が高い」とするIPCCの「1.5℃特別報告書」の警鐘を無視するもので、将来世代の負担を過酷なものとしかねません。
従って、パリ協定を合意した理念の根底にあるClimate Justiceを踏まえつつ、IPCC「1.5℃特別報告書」の警鐘に鑑み、2050年までに国内削減のみで実質排出ゼロを実現することを日本のゴールとして明記すべきです。
また2030年までの現在の目標である26%削減を大幅に引き上げ、多くの先進国と同様に40%削減を目標とすべきです。
意見② 内容
○該当箇所
6ぺ―ジの32行目
10ページ24行目
11ページ32行目
16ページの「④原子力」
58ページの「⑤原子力」
○意見の概要
大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、第5次エネルギー基本計画・エネルギーミックスを見直すことを明記して、本文を全面的に修正すべきです。
○意見及び理由

原子力発電がCO2を排出しないのは運転時のみでしかありません。他方、原子力発電は、過酷事故に伴う放射能汚染や核廃棄物の問題など解決策のない深刻で重要な問題を抱えています。
歴史を顧みれば、日本はプレート4枚がひしめき合う特殊な地形のため、巨大地震や火山噴火が続発してきた国であり、原子力のような発電技術を選択することは不適当と言わざるを得ません。
更にその上、今日の国際環境下では、不測のテロに襲われる危険性がますます高まっています。先般、原子力規制委員会が、「原子力発電所に設置が義務付けられているテロ対策施設が規制上の期限に完成できない場合、原則として運転停止を命じることを決めた」ことは至極当然の判断であるといえます。
こうしたことから、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」の複数箇所で、「2050年には原発は再稼働されていることが既成事実であるかのような表記」はとうてい認めることはできません。
大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、第5次エネルギー基本計画・エネルギーミックスを見直すことを明記して、本文を全面的に修正すべきです。
意見③ 内容
○該当箇所
11ページ31行
12ページの「(3)ビジョンに向けた対策・施策の方向性①再生可能エネルギー」
○意見の概要
2050年までに目指すべき数値目標として、発電部門は100%再生可能エネルギーで賄うことを明記すべきです。
○意見及び理由

大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、地震大国である日本には不適切なCCSに依存した石炭火力発電所をフェードアウトしながらも、「パリ協定」を実現するためには、これまで以上に省エネルギーを徹底した上で、再生可能な自然エネルギーを飛躍的に拡大させることが不可欠です。
従って、2050年までに目指すべき数値目標として、発電部門は100%再生可能エネルギーで賄うことを明記すべきです。
意見④ 内容
○該当箇所
14ページ4行目
15ページ3行目
○意見の概要
世界中の投資家が投資撤退している石炭火力発電所については、新規の建設・稼働を認めず、すべての石炭火発のフェーズアウト計画を策定すべきです。
○意見及び理由

WWFジャパンの資料によれば、日本には現在、約4300万kWの石炭火力発電所があり、計画中もしくは近年に稼働したものが約1600kW存在します。これらがすべて稼働すれば、2050年までの日本の脱炭素化は不可能になり、将来世代に過酷な負担を強いることになりかねません。石炭火力発電所から排出された二酸化炭素を回収・貯留(CCS)する技術開発についても盛り込まれていますが、CCSはまだ商業利用の見通しが立っていないだけでなく、地震大国である日本で採用するには慎重な検討が必要です。
従って、世界中の投資家が投資撤退している石炭火力発電所については、新規の建設・稼働を認めず、すべての石炭火発のフェーズアウト計画を策定すべきです。
意見⑤ 内容
○該当箇所 75ページの「(5)カーボンプライシング」
○意見の概要
CO2を見える化し、日本の産業や私たちの暮らしに変革を促すためにも、カーボンプライシングの導入に向けた議論を進めることを明記すべきです。
○意見及び理由

産業や暮らし方を、これまでにないほど大きく転換するためには、これまでにない施策が必要です。本文中に「非連続なイノベーション」という文言が多数記載されています。技術革新は重要なことですが、将来的に具現化することができなければ問題解決の先送りにしかなりません。それに引き換え、カーボンプライシングについての記述があまりにお粗末です。既に、欧州や米国の一部、中国でも導入が進められていることに鑑みれば、むしろ日本は国際的な炭素取引市場に積極的に参入して、国際社会をリードしてゆくことが求められているとも考えられます。
温暖化防止のため、産業界はこれまで「自主的行動計画」に取り組んできましたが、OECDによれば「1990年代には世界最高水準だった日本の付加価値ベース炭素生産性(温室効果ガス排出量当りのGDP)は、2000年頃を境に国際的な順位が低下し、震災前からその改善率が低迷している」ことが明らかになっています。
また、石炭火発が温存されている理由のひとつに、現在の地球温暖化対策税の問題があります。環境省によると、スイスの炭素税は9860円/t-CO2、スウェーデンは1万5670円/t-CO2ですが、日本の地球温暖化対策税は289円/t-CO2に過ぎず、CO2排出抑制に効果的であるとは言えない水準に留まっています。
従って、CO2を見える化し、日本の産業や私たちの暮らしに変革を促すためにも、カーボンプライシングの導入に向けた議論を進めることを明記すべきです。
【2019年6月5日掲載】

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