放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正(省令案)へ意見を提出
環境省より、東京電力福島第一原発事故の放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案についてのパブリックコメントの募集がありました。生活クラブ・東京として、放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部改正に反対する内容の意見を提出しました。
【意見の3つの要点】
1.責任所在が不明確である
2.管理基準が不明確である
3.情報公開義務の記載がない
【意見の3つの要点】
1.責任所在が不明確である
2.管理基準が不明確である
3.情報公開義務の記載がない
以下、意見全文
東京電力福島第一原発事故後の放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部改正に反対するパブリックコメント
東京電力福島第一原発事故後の放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部改正に反対するパブリックコメント
環境省 宛て
「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「環境大臣が定める者の告示(案)」に対する意見
「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「環境大臣が定める者の告示(案)」に対する意見
生活クラブ生活協同組合・東京
理事長 増田 和美
1. 除去土壌の再生利用における責任の所在が不明確である(2ページ)*
除去土壌の再生利用にあたり、「国又は地方公共団体その他環境大臣が定める者が、除去土壌の再生利用に係る工事を施工すること」、「除去土壌の再生利用を行った場所の管理を行うこと」とあるが、その「国又は地方公共団体その他環境大臣が定める者」である事業実施者、管理者の具体的な責任、また環境省の責任について記載がない。例えば、水害で構造物が決壊して除去土壌が河川に流出した場合などで責任の所在が曖昧であり、住民が法令違反として責任を問うことができない。
2. 除去土壌の再生利用における管理基準が不明確である(2ページ)*
除去土壌の再生利用にあたり、「除去土壌が飛散し、及び流出しないようにすること」、「再生利用に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講ずること」、「再生資材化を行った除去土壌を用いること」とあるが、用途制限や濃度制限など管理基準の記載がない。
環境省の審議会(中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会)は、かねてより、福島県内の除染で生じた1,400万m3とされる土壌および廃棄物のうち、 8,000Bq/kg以下のものを「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、道路・鉄道・海岸防災林・防潮堤の盛土材、廃棄物処分場の最終覆土材、中間覆土材、土地造成・水面埋立の埋め立て材、農地の嵩上げ材など、全国の公共事業や農地造成で利用できる方針を策定し、そのための手引きを審議している。手引き案では工事期間や用途ごとに濃度の上限や被覆の厚みなどを記載しているが、今回の省令案では、審議会で検討されている内容がまったく反映されておらず、そのことへの言及もないため、検討されている管理基準を明らかにすべきである。
また、豪雨や河川の氾濫、地震などの自然災害が多発・激甚化しているなか、道路、防潮堤、土地造成にいったん除去土壌を使用することは、放射性物質を環境中に拡散することにつながる。また、建造物の寿命が終わった後、その資材がどうなるかについてもまったく不明である。公共事業等への再生利用は事実上の「最終処分」となり、これは分散させて埋め立てることにほかならない。むしろ、放射性物質は集中管理すべきであり、公共事業や農地造成に除去土壌を利用すべきではない。
3. 除去土壌の再生利用における情報公開義務の記載がない(2ページ)*
「再生資源化した除去土壌の数量」および「放射性物質の濃度」などの記録及び「除去土壌の再生利用を行った位置を示す図面を作成し、当該再生利用を行った場所の管理が終了するまでの間、保存する」とあるが、その事業実施者、管理者の情報公開義務について記載がない。また、「当該土地の形質の変更に着手する日の30日前までに、次に掲げる事項を記載した書面を環境大臣に届け出ること。」とあるが、管理基準についての記載がない。これでは、住民の知らない間に高濃度の除去土壌が再利用されることが懸念される。
*( )内、意見提出箇所
以上
【2020年2月28日掲載】