原発・石炭火力温存にNOを!第7次エネルギー基本計画案にパブコメを提出
これからの日本のエネルギー政策の方向性を決める「第7次エネルギー基本計画案」が政府より出され、パブリックコメント(パブコメ)が開始されました。気候危機の被害が甚大化する中、その被害を最小限に抑えられるか否かの重要な政策であるにも関わらず、国の基本計画案は、下記の課題があります。
●脱炭素化に最も効果のある自然エネルギー発電の比率を2040年でも4~5割に留めており、昨年生活クラブが求めた「2035年に80%以上」に全く及んでいない。
●東京電力福島第一原発の事故以来、原発の依存度を下げるということから反転し、原発の最大限利用とし2040年で2割としている。
●火力発電のCO2排出をゼロにするためには、政府が「高効率」とするものも含めた石炭火力の完全な廃炉が必要だが、「非効率な石炭火力のフェーズアウト」という記載のみ。
●エネルギー基本計画の意見箱への意見では、「原子力の削減」「再エネの拡大」を求める声が圧倒的。政府は国民の意見を聞いていない。
現在のエネルギー基本計画案には課題があるとして、生活クラブ東京として下記4点を柱としたパブコメを提出しました。
1.原子力発電からの脱却を
2.エネルギー効率化の徹底と再エネの最大化へ
3.石炭火力を含む化石燃料からの脱却を
4.意思決定の場に市民参加を本文全文はこちら
原発回帰・石炭火力温存にNOを!みんなでパブコメを提出しよう
パブリックコメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としており、だれでも提出できます。
今回の原発政策の大きな方向転換は、東京電力福島第一原発事故から10年以上が経過し、原発について世論の抵抗が小さくなっていることを見越した上での提案ではないでしょうか。一人でも多くの市民や組合員が反対の声をあげることが重要です。
一言でも構いませんので、ぜひ反対の声を提出してください!
▼パブコメ投稿の手順について
1.上記パブコメ(e-gov)のリンクをクリック/タップして開きます。
2.開いたリンクの「募集要領」「命令などの案」「関連資料」などにある、全てのPDFをクリックして開きます。
3.「意見募集要領を確認しました」にチェックを入れます。
4.1~3を実行すると画面の右下の「意見入力へ」のボタンが有効になるので、そこから入力画面に移動し、意見を入力しましょう。
5.入力画面には個人情報を入力する欄がありますが、任意ですので特に入力の必要はありません。
生活クラブ生活協同組合は、脱原発、気候危機への解決に向けて、自然と人が共生する持続可能な社会づくりを目指しています。
2011年東京電力福島第一原発事故から14年近くが経ちますが、事故はいまだに収束していません。また、2024年1月の能登半島地震は、改めて原子力発電のリスクと、現在の原子力災害対策指針では住民の命と暮らしが守れないことを示しました。にもかかわらず、エネルギー基本計画案では原発事故以来の大前提であった「原発依存度の低減」が削除されたこと、既存炉の最大限活用や新設など原発回帰となっており、大変問題です。
2023年12月のCOP28は2030年までに、再生可能エネルギーの設備容量の3倍化と、エネルギー効率の改善率2倍化を世界の目標として定めました。これは、エネルギー効率化の徹底と再エネ導入の最大化が、脱炭素化に向けて最も現実的でコスト的にも有効な手段だからです。今回の政府のエネルギー基本計画案の問題点は、この2つを中核に据えていないことです。
生活クラブは、2024年2月に意見項目「1.脱原発、脱石炭火力を脱炭素政策の柱として早急に実現する事。」「2.エネルギー基本計画を早急に改正し、2035年の再生可能エネルギー電力目標80%以上を求めます。」「3.発電と送配電の所有権分離と再生可能エネルギーの優先接続・優先給電政策を求めます。」の112,975筆もの署名を提出しました。政府のエネルギー基本計画は、署名意見の内容に対して全く不十分です。生活クラブは以下を提案します。
1.原子力発電からの脱却を
東京電力福島第一原発事故以降、日本でも世界でもエネルギーを巡る情勢は大きく変化しています。原子力については、事故の被害やリスク、放射線汚染や解決不可能な核廃棄物の処分など問題が山積しています。経済的に見ても、原発の維持費や建設費は高騰し続けており、今や世界的にも最もコストの高い電源となっています。また、原発は、ひとたび停止すれば広範囲に影響をもたらすこと、調整力に欠ける事から、決して「安定」電源とは言えません。
エネルギー基本計画案は2040年に原子力による発電を2割程度とする目標です。さらに、原発の新増設・建て替えに関し、事業を支援する「新たな制度措置や市場環境の整備」も書き込まれています。原発新増設費用を全国民の電気代に上乗せするしくみの導入には強く反対します。
生活クラブは、脱原発を強く訴え、基本計画の原発政策に反対します。
2.エネルギー効率化の徹底と再エネの最大化へ
政府は2040年の最終エネルギー消費量は2023年比で10%程度の削減しか見込んでいません。一方、電源構成では、脱炭素に最も効果のある再生可能エネルギーによる発電を2040年に4~5割に留めています。欧州では、2024年上半期の発電量の半分を再エネが供給しています。この政府案は、今から15年後にようやく欧州の水準にたどり着くことで、全く不十分です。IPCCの第6次報告では「パリ協定」の長期目標、1.5度を達成するには、温室効果ガスの排出量を「2035年までに2019年度比で60%削減すること」が必要と報告されました。目標達成のためにもさらに野心的な再エネの導入が必要です。再生可能エネルギーの導入を加速化するための制度や政策、仕組みづくり、社会的合意形成などを計画の優先として力を入れ、風力と太陽光の導入をもっとはかるべきです。
生活クラブは、再エネの最大限活用と導入の加速化、2035年に再エネ比率80%以上を求めます。
3.石炭火力を含む化石燃料からの脱却を
今回の基本計画では、2040年時点でも火力発電で3~4割を供給するとしています。また、石炭火力については、「非効率な石炭火力のフェードアウト」をすすめるというだけで、政府のいう「高効率な」石炭火力の扱いには全く触れていない。技術的に実現の目途が立っていないCCSや水素やアンモニア専焼発電を前提とした計画は意味がありません。高効率とする石炭火力もそのCO2排出量は「非効率」なものと大差なく、天然ガス火力の2倍以上です。G7では2024年には「2035年までに石炭火力から脱却」する方向に合意していますが、日本は化石燃料使用の継続を強く主張しています。
生活クラブは、石炭火力の早期の廃止と、化石燃料ではなく、再エネを柱とすることを求めます。
4.意思決定の場に市民参加を
現在エネルギー基本計画策定プロセスには、市民が参加する場がほとんどなく、委員構成も業種、年齢、性別に偏りが見られます。審議会における検討に若い世代を含む多様な立場の専門家や環境団体、市民の参加を確保するとともに、民主的で透明なプロセスによる「国民的議論」を行うことを求めます。現状、市民の参加は意見箱やパブコメなどに限られており、国会での議論もなく閣議決定されます。全ての国民が影響を受けるエネルギーや気候変動対策についての計画のため、内容や議論の論点などをもっとわかりやすく国民に伝え、民主的で透明性の高い議論を行うべきです。
今回の原発政策の大きな方向転換は、東京電力福島第一原発事故から10年以上が経過し、原発について世論の抵抗が小さくなっていることを見越した上での提案ではないでしょうか。一人でも多くの市民や組合員が反対の声をあげることが重要です。
一言でも構いませんので、ぜひ反対の声を提出してください!
▼パブコメ投稿の手順について
1.上記パブコメ(e-gov)のリンクをクリック/タップして開きます。
2.開いたリンクの「募集要領」「命令などの案」「関連資料」などにある、全てのPDFをクリックして開きます。
3.「意見募集要領を確認しました」にチェックを入れます。
4.1~3を実行すると画面の右下の「意見入力へ」のボタンが有効になるので、そこから入力画面に移動し、意見を入力しましょう。
5.入力画面には個人情報を入力する欄がありますが、任意ですので特に入力の必要はありません。
2025年1月17日
生活クラブ生活協同組合・東京
理事長 加瀬 和美
生活クラブ生活協同組合・東京
理事長 加瀬 和美
生活クラブ生活協同組合は、脱原発、気候危機への解決に向けて、自然と人が共生する持続可能な社会づくりを目指しています。
2011年東京電力福島第一原発事故から14年近くが経ちますが、事故はいまだに収束していません。また、2024年1月の能登半島地震は、改めて原子力発電のリスクと、現在の原子力災害対策指針では住民の命と暮らしが守れないことを示しました。にもかかわらず、エネルギー基本計画案では原発事故以来の大前提であった「原発依存度の低減」が削除されたこと、既存炉の最大限活用や新設など原発回帰となっており、大変問題です。
2023年12月のCOP28は2030年までに、再生可能エネルギーの設備容量の3倍化と、エネルギー効率の改善率2倍化を世界の目標として定めました。これは、エネルギー効率化の徹底と再エネ導入の最大化が、脱炭素化に向けて最も現実的でコスト的にも有効な手段だからです。今回の政府のエネルギー基本計画案の問題点は、この2つを中核に据えていないことです。
生活クラブは、2024年2月に意見項目「1.脱原発、脱石炭火力を脱炭素政策の柱として早急に実現する事。」「2.エネルギー基本計画を早急に改正し、2035年の再生可能エネルギー電力目標80%以上を求めます。」「3.発電と送配電の所有権分離と再生可能エネルギーの優先接続・優先給電政策を求めます。」の112,975筆もの署名を提出しました。政府のエネルギー基本計画は、署名意見の内容に対して全く不十分です。生活クラブは以下を提案します。
1.原子力発電からの脱却を
東京電力福島第一原発事故以降、日本でも世界でもエネルギーを巡る情勢は大きく変化しています。原子力については、事故の被害やリスク、放射線汚染や解決不可能な核廃棄物の処分など問題が山積しています。経済的に見ても、原発の維持費や建設費は高騰し続けており、今や世界的にも最もコストの高い電源となっています。また、原発は、ひとたび停止すれば広範囲に影響をもたらすこと、調整力に欠ける事から、決して「安定」電源とは言えません。
エネルギー基本計画案は2040年に原子力による発電を2割程度とする目標です。さらに、原発の新増設・建て替えに関し、事業を支援する「新たな制度措置や市場環境の整備」も書き込まれています。原発新増設費用を全国民の電気代に上乗せするしくみの導入には強く反対します。
生活クラブは、脱原発を強く訴え、基本計画の原発政策に反対します。
2.エネルギー効率化の徹底と再エネの最大化へ
政府は2040年の最終エネルギー消費量は2023年比で10%程度の削減しか見込んでいません。一方、電源構成では、脱炭素に最も効果のある再生可能エネルギーによる発電を2040年に4~5割に留めています。欧州では、2024年上半期の発電量の半分を再エネが供給しています。この政府案は、今から15年後にようやく欧州の水準にたどり着くことで、全く不十分です。IPCCの第6次報告では「パリ協定」の長期目標、1.5度を達成するには、温室効果ガスの排出量を「2035年までに2019年度比で60%削減すること」が必要と報告されました。目標達成のためにもさらに野心的な再エネの導入が必要です。再生可能エネルギーの導入を加速化するための制度や政策、仕組みづくり、社会的合意形成などを計画の優先として力を入れ、風力と太陽光の導入をもっとはかるべきです。
生活クラブは、再エネの最大限活用と導入の加速化、2035年に再エネ比率80%以上を求めます。
3.石炭火力を含む化石燃料からの脱却を
今回の基本計画では、2040年時点でも火力発電で3~4割を供給するとしています。また、石炭火力については、「非効率な石炭火力のフェードアウト」をすすめるというだけで、政府のいう「高効率な」石炭火力の扱いには全く触れていない。技術的に実現の目途が立っていないCCSや水素やアンモニア専焼発電を前提とした計画は意味がありません。高効率とする石炭火力もそのCO2排出量は「非効率」なものと大差なく、天然ガス火力の2倍以上です。G7では2024年には「2035年までに石炭火力から脱却」する方向に合意していますが、日本は化石燃料使用の継続を強く主張しています。
生活クラブは、石炭火力の早期の廃止と、化石燃料ではなく、再エネを柱とすることを求めます。
4.意思決定の場に市民参加を
現在エネルギー基本計画策定プロセスには、市民が参加する場がほとんどなく、委員構成も業種、年齢、性別に偏りが見られます。審議会における検討に若い世代を含む多様な立場の専門家や環境団体、市民の参加を確保するとともに、民主的で透明なプロセスによる「国民的議論」を行うことを求めます。現状、市民の参加は意見箱やパブコメなどに限られており、国会での議論もなく閣議決定されます。全ての国民が影響を受けるエネルギーや気候変動対策についての計画のため、内容や議論の論点などをもっとわかりやすく国民に伝え、民主的で透明性の高い議論を行うべきです。
【2025年1月17日掲載】