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平和フォーラム「終わらない戦争を終わらせるには~私たちに何ができるか~」を開催しました

開催日:2024年12月07日
2024年12月7日、ジャーナリストの伊藤千尋さんを講師にお招きし、平和フォーラム「終わらない戦争を終わらせるには~私たちに何ができるか~」を開催しました。

当日は、オンライン参加54名を含む79名が参加し、憎しみを連鎖させるのではなく、平和を構築するために市民としてできることを考えました。はじめに、多摩きた生活クラブ 和泉澤理事より開催のあいさつがありました。
「パレスチナの争いは終わりが見えず、悲しい状況が続きます。生活クラブでは、パレスチナ産オリーブオイルの生産者である(株)オルター・トレード・ジャパンを窓口に、パレスチナへのカンパや学習会に取り組み、オリーブオイルの生産者に会う機会もつくってきました。私たちが直接聞いた報告をもとに、理解を深め、改めて平和に取り組んでいきましょう」。
その後、加瀬理事長より、生活クラブ東京として行ってきた平和活動の報告がありました。
「2020年に2030行動宣言をかかげた際『非戦と共生の立場を貫き、平和で公正な社会をめざします』と目標を立てました。平和の問題をみんなで考えるにはどうしたらいいかを討議し、2023年は戦争体験者からお話を聞く場を設けました。その後に起きたのがパレスチナの戦争です。何ができるか考えるため、バランゴンバナナの提携生産者でもある(株)オルター・トレード・ジャパンによる学習会を実施してきました。
悲しいことが、同じ時代に起きている中、なにができるのか。生活クラブでは、以前から地域の活動の中で平和に関する学習も重ねてきました。組合員活動の根底にあるのは、共生と非戦。このことをみなさんと考えたい」。

▼これまでの学習会についてはこちら
パレスチナ産オリーブオイル学習会を開催(2024/6/4)
パレスチナ産オリーブオイルの生産者が来日し交流会を開催/生産者からのメッセージ(2024/11/19)

終わらない戦争を止めるには

国際ジャーナリストである伊藤千尋さんより、パレスチナの状況や平和構築の方法について、講演をいただきました。
伊藤千尋さん プロフィール
ジャーナリスト。1949 年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。1974 年、朝日新聞に入社。サンパウロ支局長、バルセロナ支局長、ロサンゼルス支局長などを歴任、40 年にわたり主に国際報道の分野で取材を続けた。2014 年に朝日新聞退職後も、計50 年間で、82 か国を取材し、精力的に執筆と講演を行っている。「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。
著作:『コスタリカ(高文研 2023/10/30発行)』『非戦の誓い 「九条の碑」を歩く(あけび書房  2022/4/26発行)」ほか多数

▼パレスチナとイスラエルの状況―なぜ今に至るのか
いま、パレスチナでの状況は悪化し、死者は4万人にも上っています。「パレスチナ大使から、ガザのひとたちは今、子どもの腕や足に子どもの名前を書いていると聞いた。空爆され、体がばらばらになっても見つけてもらえるように。そんなことが2023年10月より今に至るまで続いている」と、ガザでの現状を語ります。

なぜ、そんな状況に至ったのか。発端は2023年10月7日。パレスチナのハマスが壁を越えてイスラエルに入り殺人と誘拐をし、イスラエルはその報復としてガザ全体を空爆しています。それを確認した上で、そもそも「壁を越えてやってくる」とはどういうことか問題提起がありました。
「ガザは地域全体が壁でおおわれ、出入りする門はすべてイスラエル軍が支配しています。生活用品、食品、医薬品などすべての物資が制限され、ガザの市民の暮らしは困窮していました。それはつまり『生きるな』というメッセージを絶えず送られていたことになります」と語る伊藤さん。ハマスが「壁を越えざるを得なかった」理由は、そこにあるといいます。

▼軍事国家としてのイスラエル
そもそも、ナチスによるホロコーストを経験したユダヤ人が、なぜアラブ人を殺すのか。伊藤さんは、その原因の一つとして学校教育をあげます。
「イスラエルでは、小学生に旧約聖書の創世記を暗記させ、この土地は神に約束されたものだと教えます。さらに、戦いで死ぬことは美徳と教え込む。戦前の日本の軍国主義教育にそっくりです」。

さらに、イスラエルは世界でもまれな軍事国家だといいます。「軍事国家かどうかは、GDPに軍事費が占める割合で分かります。世界平均は1.5%。アメリカですら3%の中、イスラエルは4.5%で世界一です。日本はかつて1%でしたが、現在政府は2%をめざしており、軍国主義に一歩踏み出している状況です」。
また、イスラエルでは高校卒業後、男性は3年、女性は2年徴兵され、さらに男性は40歳まで毎年一カ月の兵役の義務があります。国民の義務として、兵役拒否もできない中、銃を持ち、人を殺害するという経験を日常的に積む。それが、軍事国家であるイスラエルを支えているといいます。

▼憎しみは、愛によってのみ断ち切られる
イスラエルからの圧倒的な攻撃を受ける中で、パレスチナではイスラエルへの憎しみが増大します。憎しみの連鎖を断ち切ることは可能かという問いに対し、伊藤さんはスリランカのJ・R・ジャヤワルダナ氏を例にあげました。
「第二次世界大戦で日本が攻撃し被害にあった国が、1951年にサンフランシスコに集まって日本の賠償について会議を行った際、日本に多額の賠償金をとり二度と復興できないようにしようという案が出ました。多くの国の代表が賛成する中、スリランカのジャヤワルダナ代表は『日本に多額の賠償金を課して立ち上がれなくすることは憎しみの連鎖を生む。憎しみは愛によってのみ断ち切られる』と語りました。」
日本に爆撃されたスリランカが賠償請求権を放棄すると宣言したことで、会議の潮目がかわったそうです。
伊藤さんはこう指摘します。「日本の復興が早かったのは、日本人が一生懸命働いたというだけではなく、そうして稼いだお金が賠償金ではなく復興に使えたからです。スリランカのジャヤワルダナ代表がいなければそうはならなかったはずです」。

▼「国を守る」では、国を守れない
憎しみの連鎖ではなく平和をもたらすために、世界も「戦争を否定するしくみ」をつくってきました。1928年にはパリ不戦条約が結ばれ、戦争をしてはいけない、戦争は違法であると規定します。さらに1945年の国連憲章で、紛争は平和的手段で解決すべき、武力の行使を控えるということが明記されました。これが、平和憲法である9条につながるといいます。

「憲法9条で国が守れるのか。」一見「もっともらしい」この問いに、伊藤さんはこう答えます。
「そもそも『国を守る』では国を守れません。『国を守る』でいう国とは『国境』。これはつまり『国境』の向こうは敵だと断定するものです。『国を守る』という発想が、すでに戦争に一歩を踏み出している」と指摘します。

▼平和の構築―コスタリカの実践
平和憲法の実践として、伊藤さんはコスタリカを挙げました。日本に次ぎ世界で2番目に平和憲法をつくり、自国の軍隊も撤廃したコスタリカ。さらに、コスタリカのアリアス大統領は、紛争が続く中米3か国をまわって紛争を終結させ、1987年にノーベル平和賞を受賞しました。世界に平和をひろげることが、平和国家の役割だと語ります。

さらに「兵士の数だけ教師をつくろう!」をスローガンに、軍隊にあてていた予算をすべて教育の予算とし、義務教育は13年間完全無償。大学生の7割に返還不要の奨学金を出しています。

コスタリカでは、幼稚園から平和教育を行っています。
「平和の出発点は自分。自分が平和でなければ、他人を平和にできません。その次に他人との平和を学び、他人の権利を尊重することの重要性を学びます。その先に、自然との調和があります。周囲のすべての人、宇宙に対する責任を、幼稚園から学びます」
日本の平和教育では、どうしても広島や長崎、沖縄が中心になりますが、それは「戦争をしてはならない」という学びにしかならないと指摘します。それだけではなく、どうしたら平和をつくれるかを考える教育こそが重要だと伊藤さんは語ります。
国連の核兵器禁止条約がコスタリカから提案されたという点も、被爆者の立場に立って考えるという平和教育の結果ではないかと指摘します。

▼パレスチナのオリーブオイルを取り組む意義
生活クラブ東京では12月に(株)オルター・トレード・ジャパンを通じてパレスチナ産オリーブオイルを取り組みました。その意義について、こう語ります。
「難民にとって一番つらいのが『何もすることがない』こと。人間として生きる意義を見失ってしまう。パレスチナの70%が無職。それがハマスの武力勢力の源になってしまう」
その中でオリーブを育てて日本に販売し、現金収入を得ることによって、生活を維持し、自分の生活を自分でつくっていることが実感できます。更に、世界とつながっている、役に立っていると感じられることで「生きよう」という気持ちが沸くのだと語ります。
「これが国際援助の本質。一人ひとりの人間が、人間であると自覚できる支援が、重要です。」

【質疑応答】
Q. ニュースで、イスラエルの国民が「ガザに住む人が出て行けば解決する」と話していた。このような人がいる中で、どのように解決できるのか。
A. 神の国というと収拾がつかないように思われるでしょうが、日本もかつては「神の国」と自認していた時代があります。100年前は教育でそう思わされていた。だからこそ、時間をかければ意識を変えられることも分かります。「神に約束された土地」についても「そういう伝説がある。その一方で、他の国ではまた別の言い伝えもある」という多面的な見方をすることで、捉え方も変わります。
また、イスラエルの周りはアラブ人の国です。イスラエルは、パレスチナの土地を奪ったやましい気持ちもあるからこそ、軍事増強した上で、「神から与えられた」という考えで正当化している状況ではないでしょうか。「神から与えられた」のではなくても、軍事力がなくても生きていける、その安心感がイスラエルにあればいい。そのためのしくみをつくることが大事です。

Q.現在の和平交渉がうまくいかないのは、仲介国が中立ではないからでしょうか。
A. 大きな理由の一つではあります。周辺国が早く紛争を終わらせたいと本心で思っていれば戦争も終息しますが、そうではない。その筆頭がアメリカです。武器を輸出し、軍事産業が潤う中、早く終わらせたくないのが本心ではないか。アメリカにはユダヤ人が多く暮らし、資本やメディア、政治を牛耳っている状況もあると思います。ヨーロッパもユダヤ人虐殺の記憶と贖罪意識があり、大国がイスラエルに加担している。だからこそ民衆の力です。ベトナム戦争を止めたのもアメリカの母親たち。それぞれの国でそれぞれの国を動かすことが重要です。

終わりに―歴史的悲劇の傍観者であってはならない

講演をうけ、北東京生活クラブ 藤本理事より閉会のあいさつがありました。

「民間人の行動が平和をもたらすことができる、歴史的悲劇の傍観者であってはならない、ということが心に残りました。現地にいくのは難しくても、私たちが見ている、できることがあると示すため、パレスチナ産オリーブオイルの取組みを行います。12月にはパレスチナ産のオリーブオイルを1,000本目標に取り組み、パレスチナ生産者にカンパします。
また、生活クラブでは再生可能エネルギー中心の生活クラブでんきにも取り組んでいます。国際紛争の根底には、資源の奪い合いがあります。再エネは国内で自給でき、資源の奪い合いにもなりません。再エネは、平和のエネルギーでもあります」
生活クラブでんきについてはこちら


なお、12月に取り組んだパレスチナ産オリーブオイルは、配送・デポーあわせてで2,339本と、目標を大きく上回る利用がありました。ご利用いただいたみなさん、ありがとうございました。
【2025年1月10日掲載】

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